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営業秘密として管理していくのも一つの知財戦略です
営業秘密として管理していくのも一つの知財戦略です
2024/02/03
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前回のブログでは特許権は取得したら戦略的に活用していくのが良いものの、一方で優れた技術を公開されたくなければ「営業秘密」にしておく方法もあるとお伝えしました。 それが知財戦略であり、営業戦略につながっていきます。
そこで今回は「営業秘密」とは何かを考えたいと思います。
まずは法律から。 不正競争防止法第2条第6項では以下のように定義されています。
「この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。」とあります。
ではこの法律で定義されている要件を再確認していきましょう。
■
秘密として管理されていること (秘密管理性)
しっかりと社内に「秘密」であることを認識させていること、そして誰でもがアクセスできない状況においておくことが必要になります。
■
事業活動に有用なこと (有用性)
管理したい情報自体が客観的に事業活動に利用されていること、または利用されることによって、経費の
節約や経営効率の改善等に役立つものであることとされています。
■
公然と知られていないこと (非公知性)
保有者の管理下以外では一般に入手できないことが必要です。
具体的には顧客・仕入先などの取引先リスト、自社の財務情報、製造技術(特許出願前の情報なども含まれます)、新製品設計図などが該当しますね。
先日お伝えしましたように、優れた発明は特許権を取得すると出願から20年間は独占的権利を付与されますが、出願から1年6か月後にはその発明は公開されます。 そして権利期間を過ぎるとその発明は公共のものとなります。 つまり1年6か月後には発明を模倣されるリスクが出てきますし、20年後には発明そのものを堂々と利用されるようになるわけです。
それを避けて、長期的にもその発明を公開したくないのであれば、特許出願はしないで営業秘密として管理し続けるのがよいでしょう。
有名な事例はコカ・コーラの製造方法があげられます。 このレシピは社員のごく少数しか見られない状況として管理することで、その製法を100年以上にわたって守ってきています。
ここでちょっと厄介な事例をお話します。 とある中小IT企業の事例です。 開発責任者のPCに保存されていた新商品に関する特許出願前の資料を別の社員がプリントアウトして持ち出し、一部加工して自ら特許出願してしまいました。 情報を持ち出した社員はすぐに退職したのですが、しばらくしてこの事件が経営陣の知ることとなり、この会社は警察署に行って不正競争防止法に基づく刑事告訴をしました。 結果は不受理です。 警察は有用性、非公知性については理解したものの、秘密管理性が認められないとの判断でした。
この会社は毎年社員全員と秘密保持契約を締結していましたが、キャビネットの施錠管理の甘さ、資料に秘密と明記していないなど資料管理の甘さ、社員に秘密を徹底していないこと、PC起動時のパスワードも他人が容易に推測できるような甘いものであったことなどが理由だったようです。 結局この会社は泣き寝入りするしかなかったようです。
これは15年以上も前の事例ですが、皆さんの会社でも営業秘密として管理していこう、との戦略を立てられたら、まず秘密として管理していく方法も再考しましょう。
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「信頼営業力構築コンサルタント」
株式会社かなけん 金澤 健二
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